電子レンジコンセントの正しい挿し方｜プラグ型漏電遮断器や使い方も紹介！

電子レンジやオーブンレンジは他の家電とくらべて比較的消費電力が大きいです。そのため正しい方法で電源プラグを取らなければ、発火の危険性があります。消防庁の調査でも、コンセントやその配線からの発火が大きな家屋火災につながると分かっています。

その代表的なものが、コンセントと電源プラグの間に溜まったホコリと湿気が原因となるトラッキング火災です。次に多いのがタコ足配線、続いて多いのが配線コードからの出火です。傷や劣化のあるコードを使用すると発火し、火災へと繋がります。

本記事では、電子レンジの電源の正しい取り方・やってはいけない点・プラグ型漏電遮断器の使い方などについて解説します。コンセントが熱い原因・電源プラグを抜く時の注意点・アース線についても記載しているので、ぜひ参考にお役立てください。

電子レンジは消費電力が多く専用コンセントに電源プラグを接続すると推奨されています。実際に電子レンジの取り扱い説明書を見ても、専用コンセントを推奨しているものが多く見られます。

しかしキッチンでは使用する家電製品が多く、万年コンセント不足になりがちです。そのため専用コンセントにしたいとは思いつつもできない人もいます。そこでおすすめ使用方法をご紹介いたします。

日本の電圧は世界から見てもかなり低めの100V（ボルト）です。そして定格容量は15A（アンペア）ですので、コンセントの上限ワット数は15A×100V＝1500W（ワット）になります。つまり一つのコンセント全体の上限が1500Wです。

電子レンジはものにもよりますが、シンプルな電子レンジで500W～700W程度の電力を消費します。オーブンやスチーム機能などが付いた高機能な電子レンジになると1300W～1500W消費するものもあり、それだけで定格容量に達してしまいます。そのため電子レンジは専用コンセントであるのが望ましいのです。

延長コード(タコ足)に差込口が複数あり、まだコンセントが挿せる状態でも合計で15A＝1500Wしか使えないと気をつける必要があります。たとえば、冷蔵庫のワット数は常に一定ではありませんが、多い時でもおよそ100W～300W程度になります。

また、炊飯器は一般的なもので300W～500W程度ですが、圧力IHや高温スチーム機能など多機能なモデルでは1000W近くに達するものもあります。そのためこれらの家電だけで定格容量を超えてしまうのです。

したがって、電源タップの差込口が複数あるからといってキッチン家電をタコ足配線で使用するのは危険です。上述の通り、電子レンジは専用コンセントで単体使用してください。

電源プラグ部分からメインのコードとは別に数十センチ程度伸びている線がアース線です。一般的には緑色と黄色の2色が使われ先端に金属のプラグが施されています。この部分を家壁コンセントのアース接続部分へと接続します。

アース線を接続する一番の目的は「人体への感電防止」のためです。たとえば電子レンジの場合、長年使用していると内部の電子回路などが老朽化します。その結果本来外へ漏れるはずのない電流が外へ漏れ出すようになる場合があります。

そのときに電子レンジに触れると感電してしまうのです。アース線を接続しておけばこのような場合でも、電流はアース線を伝わり地面へと流れてくれますので人体への被害を最小限に食い止められます。

アース線は感電防止の他にもさまざまなメリットがあります。たとえば家に落雷があった場合、ほとんどのケースでアース線を接続していない電化製品は一瞬で故障します。しかしアース線が接続してあれば、地面へと電流が流れてくれるため故障するリスクが低下します。

またパソコンなどの電磁波が発生する製品の場合もアース線を付けておけば、電磁波はアース線を伝って地面へ流れてくれるためこれらの被害も防げます。

電子レンジは目に見えない電磁波や静電気を放出している為、Wi-Fiや他の家電のノイズの原因になってしまう場合があります。これを防ぐ為にアース線を繋ぐと、電子レンジの運転が安定し家電への干渉を抑えられます。

まず家の壁側コンセントにアース線接続部分があるか確認します。アース線接続部分がない場合は接続できませんので交換工事などが必要になります。次に電子レンジの電源プラグをコンセントから抜きます。感電防止のため必ず電源プラグを抜いておきます。最後にアース接続部分が「ねじ式」であるか「ワンタッチ式」であるかを確認して接続します。

ねじ式である場合は、ドライバーなどで家の壁側コンセントアース部分のねじを緩め、電源プラグ側のアース線U字型金属部分を挟んで接続。ねじを締め直します。ワンタッチ式である場合はアース線をそのまま挿すだけで完了します。

家の壁側コンセント部分にアース線接続端子がない場合は、アース付きのコンセントに変える必要があります。ただしコンセントの交換は電気工事士の国家資格を保有している人でなければできないため、家電量販店などに工事を依頼しなければなりません。

やはり一番おすすめの接続方法は、専用のコンセントに直接接続する方法です。もしくは壁のコンセントに直接接続してもいいです。真後ろにコンセントがある場合は壁から余裕を持たせて設置しましょう。「専用コンセント」と「壁のコンセント」は明確な違いがあります。

「専用コンセント」は見分け方として、分電盤の子ブレーカーがそのコンセントひとつだけに接続されているものをいいます。それ以外の分電盤から分岐して、複数のコンセントが接続されているものは一般の「壁コンセント」になります。

どうしても専用コンセントが足りない、もしくはコードの長さが短いために壁のコンセントに届かない場合は、延長コードを単体で使用するのがおすすめです。延長コードを使用しても、そのコードに他の電化製品を接続しなければ比較的安全に使用できます。

また、多くのコンセントの上限は1500Wですが、延長コードのワット数の制限が1000Wだと、1000Wまでしか使えなくなります。電子レンジはワット数が大きい家電なので、延長コードも高ワットのものがおすすめです。

電子レンジを使用するには、コンセントが届く位置に設置場所する必要があります。しかし、キッチンなど天井付近にコンセントがある場合もあります。そんなときは、電子レンジがコンセントに届くように高さが調節できるレンジ台などを購入するのがおすすめです。

また、キッチンのスペース確保の為に、電子レンジの上に置きたい方もいると思いますが、同じコンセントの使用はあまりおすすめできません。

手が濡れたままコンセントに電源プラグを差し込むと感電する危険性があります。水は電気を通す性質があるため、電源プラグの先端部分に直接触れていなくても電気が伝わる場合があります。

またコンセントや電源プラグが濡れた状態で差し込むと、電気が漏れ出す「漏電」を起こす場合があり、被害が大きくなります。コンセントや電源プラグを触るときは水濡れに十分に気をつけましょう。

コンセントからの電源プラグ抜き差しは根本を持って行うのが基本です。コード部分を持って引っ張ると、表面は見えなくても中で断線する場合があります。また、その状態でコンセントに差し込むとショートして火花が出たり、発火したりして火事になる可能性もあります。抜き差しの際はしっかりと根本を持って抜くようにしましょう。

電源プラグが熱くなる原因はいくつかあります。連続使用して熱くなるのは異常ではありませんが、よくある事例がタコ足配線をしている場合です。この場合は集中している電源プラグを分散させると発熱を防げます。できるだけ壁のコンセントに直接差し込むのがいいです。

次にコードがタンスの下に挟まるなど負荷がかかっている場合です。コードが断線する恐れがあるので気をつけてください。また必要以上に束ねないようにして、よじれを直してあげます。

それでも直らないときは接触不良などを起こしている可能性もあります。その場合は交換や修理が必要です。ほとんどの事例は自己解決ができますので、良く確認してください。

定格電力の範囲内で電化製品を使用するのは必須です。日本の定格電流は15Aで、コンセント一つの合計電力量は1500Wが上限です。しかしながら、この上限を超えて使用してもすぐにブレーカーが落ちるのはあまりありません。

ブレーカーは基本的に20A程度まで余裕を持った構造になっているためです。そのため15Aを少し超えても使い続けられる場合が多いですが、定格電力を超えた使用が異常発熱を起こしたり、発火したりする要因になります。

いちばんいい方法はコンセントにつなげる電化製品の消費電力をそれぞれ把握しておくといいです。付箋などにこれまでの合計ワット数を書いて貼っておくなど視覚的にわかるようにするのも効果的です。

電源プラグにホコリが溜まった状態で使用し続けると、まれにトラッキング現象を引き起こす場合があります。トラッキング現象とはコンセントに溜まったホコリに湿気を持つと、その部分から火花放電を起こす現象です。

火花放電が起きると電源プラグの絶縁部分が熱で溶けて破壊され「トラック」と呼ばれる電流が通れる道をつくり出してしまいます。この部分に電流が通電してしまうと発火し、大きな火災へとつながってしまいます。

この現象を防ぐためには電源プラグとコンセントの隙間にホコリをためないようにして、ほこりが通電回路の役割をしてしまうのを防ぐようにすると効果的です。

電子レンジの上面や側面、取っ手などに触れたとき、まれにピリピリと感じるときがあります。本来通電しない箇所でこのような現象が起こる場合は「漏電」している可能性があります。漏電は放っておくと更に悪化し、火災などを引き起こします。

ナイロン部分に傷ができたり切れ目が入ったりしてしまったコードや、すり減って内部が見えるコードなどは使用を避けた方がいいです。

大丈夫と思って使用し続けていると漏電して火災につながる危険性があります。さらにその部分が水に浸かってしまった場合などは感電する恐れもあります。

漏電を防止するには漏電遮断器を取り付ける方法もあります。漏電を感知した場合に回路を自動的に遮断して被害を防ぐ仕組みで、使い方は漏電遮断器を取コンセントに差し込み、家電製品の電源コードをビリビリガードに差し込むだけです。

「ビリビリガード」の商品名で販売されているものが多く、2000～3000円程度で購入できます。アースを取り付けられない場所におすすめです。

電子レンジ本体が壊れていなくても電源プラグだけを自分で交換、修理したい人もいます。しかし改造や分解を自分で行った場合、メーカーでの保証は対象外となってしまうため、あまりおすすめはできません。また仮に一時的に直ったとしてもその後の老朽化は早くなります。そのためメーカーや家電量販店に相談した方が得策です。

冷蔵庫や炊飯器の電源についてまとめた記事をご紹介します。なぜ冷蔵庫用のコンセント位置は高いのか、炊飯器のプラグを差しているコンセントに他の調理家電のプラグも差しているが大丈夫なのか、などについて詳しく解説しています。安全面に関わることなので下の記事をご一読いただき、ぜひ参考にしてください。

とても便利な電子レンジですが、使い方をあやまると大変危険な家電製品へと様変わりしてしまいます。使用電力も大きいため、かなめであるコンセント部分に関しては水や外傷に気をつけ、定期的にホコリを取ってあげるなどのメンテナンスが必要です。