電子レンジの殺菌作用について解説｜鶏肉はレンジで何分加熱すべき？

大規模な感染症の流行により、改めてウイルスの恐ろしさをまざまざと見せつけられた私たちですが、そんな感染症騒動の中、電子レンジによる殺菌効果について注目が集まっています。電子レンジだと手軽に使えて便利ですよね。

感染症をはじめすべてのウイルス・菌に死滅効果があるかどうかはまだ分かっていません。しかし電子レンジで容器を加熱すると、容器内にいるウイルスや菌を死滅させられる効果があると研究結果で示されています。

本記事では電子レンジを使った殺菌方法・食中毒菌のカンピロバクターが何分の加熱で死滅するかを解説しています。また鶏肉や蒸し鶏を安全に食べるための加熱時間・電子レンジ用哺乳瓶殺菌アイテムも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

電子レンジは、マイクロ波が食品内の水の分子を振動させて、摩擦熱を発生させる仕組みを活用する家電です。電子レンジの熱は加熱時間によって沸騰するほど高温にもなるため、熱に弱い菌への殺菌効果があります。

菌を殺すと菌が繁殖しにくくなるため、お弁当のように時間をおいて食べるものでも食中毒が発生しにくくなるのがポイントです。しかし、熱で殺せる菌にしか電子レンジでの殺菌効果は期待できないため、注意が必要になります。どのような菌に効果的なのかは次の見出しで紹介するので参考にしてください。

基本的にウイルスや菌は75℃以上でほとんど死滅するといった研究結果が出ています。カキなどの二枚貝が感染源とされる「ノロウイルス」は、85℃以上で1分間以上加熱すると死滅します。そのためカキを食べるときは中心部が85℃以上の状態で1分半ぐらい加熱すると安全に食べられるとされています。

カンピロバクターは激しい下痢と腹痛を起こす菌で、鳥刺しなどで発生しやすいため注意が必要です。飲食店の食中毒の7割がカンピロバクターとされています。カンピロバクターは、中心部を75℃以上で1分、あるいは65℃以上で数分加熱すると死滅するので、電子レンジで高温で加熱すると対策できます。

加熱ムラができないように、食べ物の入った容器をしっかりとレンジ庫内中央部分に置く、または数十秒ごとに置く位置を変えると効果的です。十分に加熱されなかった部分は生きた菌やウイルスが残る可能性があります。

またお茶やお味噌汁、スープ類などを温めるときは加熱ムラができないようにこまめに取り出してかき混ぜながら加熱するのがポイントです。カップの表面積と液体の上面部分ばかりが熱くなり、中はぬるいままになるのを防げます。

ウイルスや菌が繁殖しやすい季節は、お弁当のおかずの粗熱を取ってから詰める、などのちょっとした工夫も大切です。お弁当のおかずなどは熱いまま詰めてすぐにフタをしてしまうと、中で蒸れて雑菌が繁殖しやすくなります。

また、食品が水っぽくなったり、べちゃべちゃになったりします。お弁当におかずを詰める前に、うちわや扇風機で風をあてて冷ます・少しの時間冷蔵庫か冷凍庫で冷やすなどすると、短い時間で殺菌ができます。

電子レンジで加熱殺菌ができるといっても、何でも殺菌できるわけではありません。中には加熱すると発火したり、破裂したりするものもありますので、事前にこれらの現象が起きないか確認する必要があります。電子レンジで加熱殺菌する際の注意点を以下にまとめました。

電子レンジで卵を加熱したい方は以下の記事を参考にしてください。

電子レンジ加熱殺菌専用のアイテムを使用したり、加熱殺菌ができるマスク等を使用したりすれば、加熱殺菌はできます。しかしそれ以外のマスクの場合は、電子レンジで加熱すると発火する危険性があります。

一部「電子レンジでのマスクの加熱殺菌は危険ですのでおやめください」といった断り書きを目にする場合もあります。そのため自分の着用しているマスクが電子レンジの加熱殺菌に対応しているのかを確認する必要があります。

殻のついた食品は密閉状態になりやすく、内部が高温になり膨張するため、他の食品に比べて破裂しやすい傾向にあります。特に代表的なのは卵です。

卵は割ってから加熱しなければ思わぬ事故につながる可能性があります。また、ゆで卵の場合も切り込みをいれたり、輪切りにしたりするなどしてから加熱する方が好ましいです。

哺乳瓶・弁当容器の殺菌にも電子レンジが使えます。哺乳瓶は電子レンジ消毒のほかに煮沸消毒・薬液消毒もありますが、電子レンジ消毒は水と哺乳瓶を容器に入れて、数分加熱するだけなので簡単です。

薬液消毒は哺乳瓶だけでなく、おしゃぶりなどのベビーグッズも一緒に消毒できるのがメリットです。煮沸消毒は鍋のお湯を沸騰させて消毒するので、赤ちゃんのお世話をしながら行うのは現実的ではないかもしれません。

また岡山大学医学部細菌学教室の論文によるとおしぼりに付着している菌も、電子レンジの加熱で殺菌できるといった検証結果が出ています。加熱消毒で死滅する菌がついたおしぼり・タオル・ふきんは、電子レンジに2～3分かけると消毒できます。

電子レンジで殺菌ができるといっても、あくまで調理家電であるため過信してはいけません。ウイルスや菌が完全に死滅しない可能性もあります。カビが発生しやすい季節は加熱殺菌に加えて、食品の取り扱いや調理方法にも気をつけましょう。