電子レンジの周波数の解説｜ヘルツフリーのデメリット・地域の違い・Wi-Fiとの関係

周波数とは、1秒間に繰り返す波の数のことです。各メーカーは、この周波数を元に電化製品を開発しています。電化製品には使用可能な周波数があり、それは取扱説明書にも必ず記載されています。

周波数の単位は「Hz」ですが、日本では50Hzと60Hzがあり、地域によって違いがあるため、Hzが異なれば基本的にその電化製品は使えません。そこで、最近はどちらの地域でも使える「ヘルツフリー」というタイプが増えています。

本記事では、国内の周波数の仕組みや電子レンジを使用する際に気をつけたい周波数について解説します。また、電磁波とWi-Fiとの関係や周波数の確認や変更方法・ヘルツフリーとはなにか・デメリットはあるのかについても記載するので、ぜひ参考にしてください。

日本で使われている周波数帯は50Hz帯と60Hz帯があり、おおまかに言うと東日本が50Hz、西日本が60Hz地域です。家電製品を使うときは、どちらの周波数に対応しているのかを確認しなければいけません。

日本国内で東日本から西日本、またはその逆に引っ越しをする際も、ヘルツが違うと家電が使えない場合もあります。また、電気の周波数帯は国によっても異なります。

日本で地域によって2つの周波数帯が混在している理由は、明治時代の歴史にあります。当時、電気を作る発電機はドイツ製とアメリカ製がありました。東京ではドイツの50Hz帯の発電機、大阪ではアメリカの60Hz帯の発電機を取り入れたため、東日本と西日本で異なる周波数となりました。

現在でも周波数帯が統一されていない理由は、発電設備の莫大な費用にあるのではないかといわれています。また、周波数帯の統一には工事が必要です。工事中は電気を使えなくなり、日常生活や多くの産業に大きな影響があるのも、周波数の統一が難しい理由です。

日本で使われている周波数帯には50Hz帯と60Hz帯がありますが、地理的な境界線によって区切られています。基本的には静岡県の富士川と新潟県の糸魚川あたりを境にしていますが、川より東側は50Hz帯、川より西側は60Hz帯です。ただ、境界付近は50Hz帯と60Hz帯が混在しています。

周波数が異なってもそのまま使える電化製品には、

• 電気こたつ
• 電気ポット
• 電気毛布
• 電気コンロ
• 電気ストーブ
• トースター
• アイロン
• 電気温水器
• テレビ
• ラジオ
• パソコン

などがあります。上記の電化製品は引っ越し先でも使えるので安心です。

周波数が異なっても使える電化製品はありますが、一部の電化製品は性能が落ちます。周波数が異なると性能が落ちる電化製品は、

• 扇風機
• ヘアドライヤー
• 換気扇
• 掃除機
• 温風暖房機
• ジューサー・ミキサー

などです。

これらの電化製品はそのまま使っても構いませんが、電化製品によっては著しく性能が落ちる可能性があります。著しく性能が落ちたら、電化製品本来の良さが発揮できないので勿体ないです。

周波数が異なればそのままでは使えない電化製品には、

• 洗濯機
• タイマー
• 電気時計
• 電子レンジ
• 衣類乾燥機
• 蛍光灯
• ステレオ
• テープレコーダー

などがあります。ただインバータータイプの蛍光灯はそのまま使えます。インバータータイプの蛍光灯は電気の回転数を制御する機能があるため、周波数が異なっても問題はありません。

インバータータイプの蛍光灯以外を使えば火災や器具の故障の原因になるので、例え動いたとしても絶対に使ってはいけません。実際周波数が合致しない電化製品を使い、火災が発生した例はあります。

「ヘルツフリー」とは、50Hzと60Hz両方で使用できるタイプです。ヘルツフリーの電子レンジは交流を一旦直流にしますが、直流して周波数の問題を解決しています。直流にすれば周波数は関係ないので、日本全国どこで使っても問題はありません。

最近の電子レンジはヘルツフリータイプが増えてきましたが、近い将来は主流になると予想されます。ヘルツフリータイプの電子レンジの価格は高めですが、日本国内どこに引っ越したとしても、住む場所に関係なく同じ製品が引き続き使える点が魅力です。

しかし、機種によっては「地域が変わると出力を選べない」というデメリットがあります。たとえば、650Wか500Wを選べる電子レンジでも、50Hzの地域では650Wが使えず、500Wしか選べなくなることがあります。ただし、温めにかかるトータルの消費電力は変わりません。

周波数が合致していない地域で電子レンジを使うときは、周波数帯を変更すれば日本全国どこでも電子レンジを使えます。周波数帯を変えて周波数が異なる地域で同じ電子レンジを使うときは、以下の注意点をしっかり守ってください。

異なる周波数で電子レンジを使う方法は、高圧コンデンサ、タイマー、高圧トランスなどの部品の交換です。部品の交換作業は電気店またはメーカーが行いますが、部品代と工賃がかかります。

交換が必要な部品は一般的に高価で、部品代だけで中古の電子レンジが買えるケースが多く、新しい電子レンジを購入した方が安上がりになる場合もあります。

電子レンジには電気の周波数だけではなく、電磁波の周波数があります。電子レンジの電磁波は食品を加熱するときに使われていますが、電子レンジが発する電磁波が他の電子機器に悪影響を与えることも多いです。以下では悪影響を受ける電子機器と、対策法を詳しく紹介します。

電子レンジの電磁波は2.4GHz帯の周波数を使用していますが、Wi-Fi環境に悪影響を与える可能性があります。Wi-Fiとは無線LANの規格の一つですが、無線ルーターを活用し無線のネットワーク環境を構築しています。

無線ルーターが使用している電磁波には2.4GHz帯がありますが、2.4GHz帯の周波数は電子レンジの周波数と同じです。そのため、電子レンジと無線LANを同時に使っているときに同じ周波数同士が干渉し合う可能性があります。

周波数が干渉し合いネットワーク回線の速度が遅くなる原因は、電子レンジから漏れる電磁波です。電子レンジから漏れる電磁波は無線ルーターの電波にノイズを与え、結果的に無線のネットワーク回線を遅くさせます。

電子レンジの電磁波の影響を避ける方法には、無線ルーターを電子レンジから離れた場所に置くことがあります。電子レンジの電磁波は全方位に放たれますが、前方に放たれる割合が圧倒的に多いため、無線ルーターは電子レンジの前方には置かないようにしましょう。

電子レンジの電磁波対策には、無線ルーターのチャンネルを変更する方法があります。チャンネルの変更方法はデバイスによって異なりますが、いずれもモニター上で行えるので難しくはありません。2.4GHz帯のチャンネルの総数は13個ですが、快適に使うためにはチャンネル間を開ける必要があります。

チャンネルの変更方法はメーカーによっても異なりますが、BUFFALO製の無線ルーターのチャンネル変更は、以下のリンクを参考にしてください。

電子レンジの電気の周波数と、電子レンジの電磁波の周波数について紹介しました。電気の周波数も電磁波の周波数も、上手に付き合っていくことが大切です。上手に付き合う第一歩は周波数の仕組みを知ることですが、下の記事では他にも電子レンジを上手く使いこなす方法を紹介しているので、ぜひご覧になってください。